腸内環境(腸内フローラ)のバランスを整える食物繊維
皆さんの中には、便秘でお悩みの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?便秘に限らず、肥満、糖尿病、大腸がんなどのいわゆる現代病の多くは、腸内環境(腸内フローラ)の悪化が原因と言われています。
腸をきれいに保つ、便秘を解消し、便通を良好にするためには、ためには、食物繊維を多く含んだ食事を摂ることが効果的です。特に、野菜、穀物、めかぶを代表とする海藻などがおすすめです。今回のコラムでは、食物繊維の働きや種類、食物繊維を多く含む丸繁商店オススメの「時短おかず」レシピを紹介します。
目次
食物繊維とは?
食物繊維は、人の消化酵素によって消化されにくい成分の総称です。これが、腸の動きを活発にし、便通をスムーズにする効果があります。特に、便秘を改善したり、食後の血糖値の上昇を穏やかにしたりする生体調整機能が注目されています。このため「第六の栄養素」といわれることもあります。
糖質、脂質、たんぱく質など三大栄養素は、体を作るための材料やエネルギーとして使うために、消化酵素によって分解され、小腸から体の中に吸収されていきます。一方で、食物繊維はこの消化酵素によって分解されずに小腸で消化されずに、大腸まで達します。
食物繊維の働き
食物繊維は、水分を含んで膨らみ便の体積を増やす材料となります。さらに、大腸内で有用な働きをするビフィズス菌や乳酸菌などのエサとなるため、善玉菌の割合を増やし、腸内環境(腸内フローラ)を良好に整えます。 また、腸内細菌を増やすことによって、便通を整えて便秘を防ぐ働きをします。
便通改善に加えて、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあるため、これらを摂り過ぎることによって引き起こされる肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧など 生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。
さらに、肝臓でコレステロールより生合成される胆汁酸を体外に排泄し、血中コレステロール濃度を下げます。また食後の糖や脂肪の吸収を緩やかにし、血糖値や中性脂肪の急激な上昇を抑える作用もあります。
減少傾向にある日本人の摂取量
日本人の平均食物繊維摂取量は、昭和25年頃には、一人一日あたり20gを越えていましたが、近年、減少傾向にあります。最近の調査によれば、グラフに示す通り、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。主な要因は、食生活の欧米化によって、大麦などの穀類・大麦・いも類・豆類など食物繊維を多く含む食品の摂取量が減少したことと考えられています。
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」[2]では、生活習慣病の発症予防を目的とした、日本人の「一日あたりの摂取量」を、成人男性で21g以上、成人女性で18g以上と推奨しています。目標摂取量を下回っている現状から、食物繊維を積極的に摂取するよう心掛ける必要があります。
なお、食物繊維が必要量摂取できているか判断するためには、便秘が解消され、「一日に一回、規則的に排便がある」ことがひとつの目安になります。必要量摂取できている人の排便量は、一日に約150g、おおよそMサイズの鶏卵で約3個分となります。食物繊維の摂取が十分かを確認するため、自身の便通の状態や排便量をチェックしてみましょう。
食物繊維の種類
食物繊維というと「繊維」という言葉から、細い糸のような、スジ状のものをイメージされがちですが、「ザラザラ」するもの、「ネバネバ」するもの、「サラサラ」したものまで多くの種類があります。食物繊維は、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維とに大別できます。
水溶性食物繊維は、腸内で水を吸収して膨らみゼリー状になり、糖質の消化・吸収を緩やかにして、食後の血糖の上昇を抑える働きがあります。代表的なものに、海藻に含まれるアルギン酸、果物や野菜に含まれるペクチンがあります。
不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨らみ、ぜんどう運動を活発化するため、排便を促します。その結果、発がん物質が排出されるため、大腸がんの予防につながるとされています。主なものに、野菜や果物、穀類に含まれるセルロース、甲殻類の殻やキノコに含まれるキチンがあります。
理想的な摂取バランスは不溶性が2、水溶性が1の「2:1」と言われています。「平成28年国民健康・栄養調査」[3]によれば、普段の食生活では水溶性食物繊維が不足しやすいため、とくに意識して摂取する必要があります。
食物繊維の分類 | 主な食物繊維 | 主な働き |
---|---|---|
水溶性食物繊維 | ・アルギン酸 ・グルコマンナン ・ペクチン※1 ・ガム質など |
小腸内で栄養素やコレステロールの吸収に影響を及ぼす。胆汁酸を吸着して再吸収を防ぐので、血中コレステロールを下げる働きがある。 |
不溶性食物繊維 | ・セルロース ・ヘミセルロース ・リグニン ・キチンなど |
大腸内で水分を吸収し、便のかさを増やす。腸内の通過時間を早め、便秘を解消する。 |
食物繊維を多く含んでいて便秘に効果的な食材
それでは、実際に、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が豊富に含まれている食材を、海藻類、穀物、野菜、きのこ、くだものの分類別に紹介します。
分類 | 具体的な食材 | 説明 |
---|---|---|
海藻類 | こんぶ、わかめ、めかぶ、もずくなど | 海藻類は、水溶性食物繊維が豊富で、お通じをスムーズにします。 |
穀物 | 大麦、オートミール、そば、玄米など | 不溶性食物繊維が豊富で、便の量を増やし、腸を刺激して動きを活発にします。 |
野菜 | アボガド、ごぼう、さつまいも、かぼちゃ、ほうれん草、切り干し大根など | 野菜は、不溶性食物繊維が多く含まれており、便秘解消に効果的です。 |
きのこ | きくらげ、えのき、しいたけ、ぶなしめじなど | きのこには、不溶性食物繊維が豊富に含まれています。中華、和食、洋食を問わずいろいろな料理に使うことができるので、積極的に取り入れたいです。 |
くだもの | りんご、バナナ、キウイ、柿、プルーン、いちじく、ブルーベリーなど | くだものについては、生のものに比べて、ドライフルーツが食物繊維含有量が増しているので、お勧めです。ドライフルーツをヨーグルトと組合せて食べるのが便秘解消に効果的です。 |
めかぶに含まれる食物繊維とは?
めかぶの“ネバネバ”は、水溶性食物繊維の一種であるアルギン酸とフコダインです。めかぶに含まれる食物繊維全体の約70~80%は、水溶性食物繊維ですので、普段の食生活で不足している水溶性食物繊維を効率的に摂取できます。
丸繁商店は、旨味もネバリも逃さない「旨味封じ込め製法」で、めかぶの食物繊維を最大限に活かしています。一般に市販されているめかぶ製品に含まれる食物繊維が5~6%であるのに対し、丸繁商店のめかぶ製品の含有量は約10%。このネバリには、水溶性食物繊維のフコイダンやアルギン酸などの優れた栄養素が含まれています。
めかぶの食物繊維が、便通を促したり、血糖値の上昇を抑制したりと、健康に気をつかう方にとって魅力的な食材となります。今までめかぶに親しみがなかった方も、ぜひプラス1品のおかずとして取り入れてみてください。
栄養素 | 含有量 |
---|---|
カロリー | 51(kcal) |
たんぱく質 | 2.1(g) |
脂質 | 0.3(g) |
炭水化物 | 9.9(g) |
食塩相当量 | 0.23(g) |
簡単・時短!めかぶおかずで食物繊維を補給!
めかぶネバネバ和え
■材料(1人分)
- 10秒deおいしいめかぶ1パック
- 添付のたれ 1袋
- 納豆 1パック
- オクラ 2~3本
■作り方
- 「10秒deおいしいめかぶ」を冷凍庫から取り出し解凍し、添付のタレを加えてよく混ぜる。
- オクラは熱湯でさっと湯がき、水に取って冷まして水気を切り、小口切りにする。
- 納豆にタレを加えてよく混ぜる。
- 器にめかぶ、納豆、オクラを盛って、混ぜ合わせながら食べる
たまごの黄身を加えるとさらに粘り気が増します。
きのこのめかぶ和え
■材料(2人分)
- 10秒deおいしいめかぶ 1パック
- えのき茸 100g
- しめじ 70g
- A(めかぶ添付のタレ 1袋・しょうゆ 小さじ 1・お酢 小さじ 1・ねりわさび 少々)
■作り方
- えのき茸の根元を切り落として、半分の長さに切る。手でしめじを小房に分解する。
- 1を軽くゆで、ざるに上げて、水気を切る。
- ゆで汁を軽くかけて、10秒deおいしいめかぶを解凍する。
- ボウルに1と解凍した10秒deおいしいめかぶ、Aを入れ、和える。
[出典]