“10秒deおいしいめかぶ”開発の裏側
— 住みやすい住宅の発想から生まれた特許出願中の「うすうすパック」、新鮮なまま冷凍庫にするりと保管 —
こんにちは!まるしげ商店の小野寺薫です。 今回は、まるしげ商店の看板商品である「10秒deおいしいめかぶ」の開発の裏側を、皆さまに、こっそりお教えします。
目次
住みやすい住宅の設計にこだわっていた日々
私、小野寺薫は、実は、2011年の東日本大震災前までは、宮城県仙台市で注文住宅を取り扱う工務店で設計業務や工務に携わっておりました。
「夏涼しく冬温かい」断熱性能の良い住宅にするため日々勉強し、お客さまの生活を快適にすることに心がけておりました。
東日本大震災を契機として家業を承継
そこで起きたのが、あの東日本大震災です。
家業である丸繁商店は気仙沼市の沿岸部で営業をしていたため、社屋、工場、冷凍倉庫、自宅などすべて津波で流失してしまいました。
家業再建のため気仙沼に戻り、丸繁商店に入社しました。入社してからは自社のめかぶをより深く知るため、自宅では四角いパックのめかぶを冷凍で常備し、毎日夕飯時に湯煎解凍しながら美味しく食べ、日々、勉強していました。
美味しいめかぶを毎日手軽に食べたい!
毎日食べていると、ある日、ふと、問題点に気づきました。
冷凍めかぶは湯煎解凍しても、中心まで凍っているので直前ではなかなか溶けない。
四角いパックを狭い冷凍庫で保管するには、かさばってしまいスペースが無駄になる。
毎日食べるためにこんなにもストレスがかかってしまってはお客様のためにならない!と思い、時短解凍、かさばらない保管ができるめかぶの研究を始めました。
“10秒de解凍”にこだわったうすうすパック
そこで活きてきたのが前職である建築士の知識です!
前職では、住環境を良くするため壁の厚みや窓の断熱性能を計算して、外気の温度に影響されにくい住宅(熱が伝わりにくい住宅)を作っていました。
これの逆転の発想で、外気の温度が伝わりやすい商品(熱を伝えやすい商品)であれば簡単に解凍できるだろう!と考えました。
何度も形状を変えたり、最善の解凍方法を試したりと、いろいろと研究して試作品を作り、厚さ5㎜以下のうすうすパックが出来上がりました。構想から発売まで約2年もかかってしまいました。
5㎜以下の板状にすることで、解凍時間が長くなってしまっていた根源である中心部分がなくなり、外気の熱をめかぶ表面にさらすだけで素早く熱交換でき時短解凍することが可能になりました。
また、蛇口の温水を使うことで効率よく解凍できるので、約10秒という速さで時短解凍できることに成功しました。
なお、このうすうすパックの形状は、特許申請中となります。
食品ロスの削減に貢献
5㎜以下の厚さのため、パンパンになりがちなご家庭の冷凍庫内でも隙間に差し込めるので、嵩張らずに保管できます。
従来の冷蔵めかぶは賞味期限があまり長くない商品ですので、賞味期限切れになって捨ててしまう食品ロスの削減にも大いに貢献できます。
今、世間では、SDGs(持続可能な開発目標)の関心が高まっています。
漁師さんが大切に育てたわかめ(めかぶ)を無駄にしないで、食材として消費することは、持続可能な消費と生産の確保(SDG 12)や、海洋の豊かさを守る(SDG 14)に貢献する取り組みでもあると言えます。
また、海洋プラスチック問題にも取り組んでおり、プラスチック使用量を通常容器に比べて、約15%(重量比)削減しています。
期待以上の反響、水産庁長官賞を初めとする受賞
こうして完成した「10秒deおいしいめかぶ」は、発売以来、水産加工品品評会で、宮城県知事賞、水産庁長官賞などを受賞し好評を博しています。
また、2023年2月には、フジテレビ系の「めざましテレビ」で紹介されて、多くの皆さまから問い合わせをいただきました。
気仙沼から日本の食生活を健康で豊かなものに!
めかぶには、食物繊維が多く含まれています。食物繊維が豊富なめかぶを気仙沼から皆さまにお届けして、皆さまの食生活のバランスを整えるたいと、思っています。
また、「10秒deおいしいめかぶ」を開発した目的は、仕事に忙しい人たちが、簡単に、おいしいめかぶを食べて、食物繊維を採れることです。
スーパーなどの店頭で並べてある商品も賞味期限切れになってしまうと廃棄さてれしまいます。冷凍技術は日々向上しておりますので冷凍したからといって味が落ちるということは少ないです。
一日も早く全国のすべてお店で販売されるめかぶは冷凍になって欲しいと願います!